Primer Decks:Zombies!!!
2014年3月18日 MTG Article
Primer Decks:Zombies!!!
【脳味噌が食べられてしまう前に。】
みなさんは「ゾンビ」と聞くと何を思い浮かべますか?ある人は『倒しても倒しても何度も蘇る』と言うでしょう。またある人は『群れで襲いかかってくる』とも。少ない意見で言えば『死体が合体して、1つの巨大なゾンビになるんだ!』なんてのもあったりします。
よろしい、全て叶えましょう!このデッキにはその全ての要素が入っています。ゾンビ達は倒されても倒されても墓地や手札から何度も蘇り、対戦相手に群れで襲いかかります。そして死体が「補充」された暁には、巨大なゾンビの王が戦場に降臨するのです!
このデッキはそういった「フレイバー」を重視して作られていますが、実力は相当なモノです。自信を持ってオススメ出来るデッキに仕上がっています。このデッキを使った貴方はその強さと、醜くも美しい耽美なるゾンビの世界に魅了されてしまう事でしょう。
また、このデッキの名前はインスピレーションを受けた同名のボードゲームから付けさせてもらいました。単純なルールで皆で盛り上がる事の出来る、素晴らしい「バカゲー(賞賛の言葉です)」になっているので、機会があったら是非プレイしてみて下さい。
…おや?そうこうしている間にも向こうからやって来てくれたみたいですよ。聞こえてきたでしょう、彼らの呻き声が。ほら、貴方の後ろにも…!
【デッキリスト】
【各カードの解説】
◆ 土地 / Lands
《沼/Swamp》
このデッキの(仕事をする上での)平均マナコストは何と「1.37」です。その事実がこの土地の少なさを裏付けています。土地の採用枚数が合計で17枚と言うのは、通常のアグロデッキと比べても少ない枚数ですが、その中でも安定してマナを出せる基本地形が14枚しかないと言う事は、逆を言えばそれ以外のカードはマナを発生させる以外の「何らかの仕事」を行うと言う事です。時に十分な枚数の土地を引けない事があるかもしれませんが、このデッキは基本的に土地が1枚あればデッキが動くように作られています。少ないマナを有効活用し、活路を見出してください。
《邪悪な岩屋/Unholy Grotto》
墓地にあるゾンビをライブラリートップに戻すカードです。主にシナジーを形成するのは《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》ですが、その他のカードとも相性は良好です。しかしながら、この土地カードからは無色のマナしか生成する事が出来ないので、土地として換算するには少し不安が残ります。と、言うのも、このデッキに採用しているほとんどのカードは無色のマナを必要としないからです。初手でこの土地をキープする場合には気をつけてください。
《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
メインボードから気軽に採用出来る墓地対策カードです。タップインなのでテンポロスになってしまいますが、2枚目以降の「沼」とみるならば、なかなかにいい働きだと思います。対戦相手を対象に取る事が出来なかった場合には自分の墓地を対象に取らざるを得ないので、出すタイミングには気をつけてください。
◆ クリーチャー / Creatures
《カーノファージ/Carnophage》
メインアタッカーです。安定した使役には多少の痛みが伴いますが、それを感じさせない程パワフルな働きをしてくれるでしょう。このクリーチャーもそうですが、このデッキは「2点ダメージを相手本体に10回叩き込む」というプランで成り立っています。1体1体の役割を冷静に見極め、生贄に捧げるかブロッカーにするか、はたまたアタッカーにするのかを的確に指示してあげていって下さい。(何と言っても、この子達には「脳味噌」が無いですからね。)
《戦墓のグール/Diregraf Ghoul》
コチラもこのデッキを代表するメインアタッカーです。一度戦場に出てしまえば《カーノファージ/Carnophage》よりも優秀なので、採用枚数は4枚となっています。タップインが少し煩わしいですが、このデメリットが敗因に繋がることは稀でしょう。また、このデッキのウィニークリーチャー達は全て「使い捨て」と考えて下さい。土地の項目にも少し書きましたが、このデッキは土地の枚数が極端に少なく構成されています。ドローしてくるカードのほとんどは盤面に有効に働くカード達なので、上手に使って試合を有利に進めていって下さい。
《肉占い/Sarcomancy》
コレ自体はエンチャントですが、真の所、このカードは優秀な「ウィニークリーチャー」です。このデッキに関して言えば、デメリットはほぼ感じられないでしょう。1ターン目から2/2クリーチャーを着地させる事が出来るデッキは、そう多くはありません。ゲーム序盤から相手のライフを果敢に攻め、常にライフに於いて優位に立てている様な展開が望ましいですね。
《墓所這い/Gravecrawler》
このデッキのメインエンジンになります。墓地から蘇る事によって《肉占い/Sarcomancy》のデメリットを帳消しにしたり、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》のフラッシュバックコストに充てたり、《屍肉喰らい/Carrion Feeder》に自身を食べさせて彼を成長させたりと、使い方に関しては枚数に暇が無いです。ただしブロックに回る事は出来ないので、相手に対処出来ない程のファッティが出て来た場合は、《屍肉喰らい/Carrion Feeder》の餌となり、彼を育てる「餌」として尽力して下さい。
《屍肉喰らい/Carrion Feeder》
このデッキのメインエンジンその2です。陰鬱の達成や探索カウンターを乗せる等、この子の行える仕事は多岐に渡ります。また、この子はデッキに入っているクリーチャーの中でも一番の成長株で、上手く育て上げることが出来ればそのサイズは、かのエムラクールすら超えることが出来ることでしょう。カジュアル・クラシックに限った事では無いですが、この子を中心に動く事が出来れば、相手の《剣を鍬に/Swords to Plowshares》や《流刑への道/Path to Exile》をかわす事が容易になります。タイミングを見極めて上手に避けましょう。
《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》
死体を寄せ集める事によって降臨するゾンビの王様です。単体のサイズで見れば、このデッキの中で最大のサイズを持ったクリーチャーです。クリーチャー同士の戦闘に於いて、5/5という巨大なサイズのクリーチャーが落とされる事はまず無いと言っても過言では無いでしょう。バウンス呪文や明滅呪文に弱いという欠点はありますが、それを差し引いたとしても有り余るスピードと火力が対戦相手を恐怖のドン底に叩き落とすでしょう。何せこの王様が着地するのには1マナしか必要としないのですから。
《血の公証人/Blood Scrivener》
このデッキはしばしば手札が無い事に悩まされます。それを逆手に取り、アドバンテージに変えてしまうのがこの子の仕事です。レガシープレイヤーには痛くない《闇の腹心/Dark Confidant》と言えば理解が早いかと思います。この子が無事に着地出来たとしたら、圧倒的なドロー加速と驚異の展開力で、場をゾンビの群れで満たしてあげましょう。腐っても(とは言いつつも、元々身体は腐ってはいますが)サイズは2/1、しっかりとクロックも刻める憎いヤツです。
《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》
この子はとにかく仕事が出来る子です。場に出て仕事をして、一度墓地に落ちて仕事をして、場に戻って来て仕事をして、クロックを刻んで仕事をして、また墓地に行って仕事をして…。日本人も尻尾を巻いて逃げ出す程のハードワーカーです。柔軟性に富んだユーティリティカードだと言う事に間違いは無いのですが、黒マナを3つも使う為、少し場に出にくく感じるのが残念な所です。しかし、一度場に出てさえしまえば必要最低限の仕事はこなしているので、出せる場面では積極的に狙って行きましょう。
◆ 呪文 / Spells
《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
相手のカードを狙い撃ちして落とせるスナイパーカードです。使いこなす為には相当量の知識が伴いますが、2ゲーム目以降であれば比較的容易に狙い落とせるでしょう。基本的には《神の怒り/Wrath of God》の様な全体除去を叩き落とす為に使いますが、黒という色の特性上アーティファクトとエンチャントに触りにくい為、それらのカードを落とすのにも使えます。クリーチャーが墓地に落ちる事をトリガーとするカードが場に出ている場合は、即座にフラッシュバックを使用し、2回続けて撃って行きましょう。カードを2枚使用してしまいますが、相手の手札で最も撃たれたくないカードを確実に落とせます。
《強迫/Duress》
覚えておいて欲しいのが、このデッキは比較的多めにクリーチャー除去が搭載されていますが、クリーチャー以外のカードに積極的干渉が出来るのは、ハンデスカードを除くと《冬の宝珠/Winter Orb》だけということです。クリーチャー以外の呪文は、撃たれる前に墓地に送ってあげましょう。ゲーム序盤に撃てればほぼ間違い無く何かしらのカードが落せると思います。そして、何と言っても「相手の手札が見えている状況」というのは潜在的アドバンテージを内包しており、カードを使用する順番や除去の使い道など、コチラの戦略を遂行する上でかなり有効に働く事が多いです。また、相手のカウンター呪文を誘えたりもするので、ゲーム中盤から後半に引いてきても腐りにくいカードと言えるでしょう。
《四肢切断/Dismember》
スーサイド要素の強い、低コストの除去カードです。-5/-5に耐えうるクリーチャーはまずいないでしょう。ライフ4点の損失はかなり手痛いですが、構えておくマナが1マナで良いと言うのは、テンポの面から見ても大変優れているカードと言えます。基本的に1マナで撃つ事になるカードなので、残りライフには常に気を付けていて下さい。相手のメインクロッカーを落としつつ、コチラのクリーチャーを通す為に使うので、基本的にはミッドレンジ(目安として3/3)以上のクリーチャーに使うように心掛けていってください。
《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
陰鬱を達成すると落とせないカードはほとんど無くなる、優秀な除去呪文です。基本的には相手のシステムクリーチャーを排除する為に使いますが、《屍肉喰らい/Carrion Feeder》との相性は抜群で、自分の好きなタイミングで陰鬱を達成させ、フィニッシャー級の重量クリーチャーをも落とす事が可能になります。コチラも1マナ構えていればいつでも撃てるので、《四肢切断/Dismember》と合わせてブラフが機能します。時には自殺覚悟のチャンプアタックをしてみても面白いかもしれませんね。
《血の署名/Sign in Blood》
残り2点を削り取る、フィニッシャーにもなり得るドローカードです。自分の手札が少ない場合にはドローソースとして機能し、相手のライフが少ない場合にはダメージソースとして機能します。このカードの実力はかなりのもので、本来ならば4枚搭載したい所です。しかしながらこのカード唯一の弱点として「テンポロス」が挙げられます。この唯一の弱点が、速さが重要視されるアグロデッキにとっては何とも致命的で、マナを切り詰めているこのデッキにとっては更に明確な弱点となってしまいます。言い過ぎかもしれませんが、「1ターンを無駄にしてカードを2枚得る」と言っても差し支えないと思っています。アグロデッキの1ターンは何物にも代え難いもので、テンポを崩してまでカードが欲しい事は稀です。それに、このデッキには他にもドローソースが存在しているので、このカードが輝ける場面はそこまで多くはありません。なので、この枚数に落ち着きました。アーキタイプによって搭載枚数に差が出る良い例ですね。
《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
ドローをしながら相手のライフを攻められる一人二役のカードです。マナコストを見てもらえば分かる通り、このカードが場に出る事はまずありえません。サイクリング能力を目当てに使っていきます。なので「呪文」の項目に当て込みました。ドローをしながら(平均的に)2点のライフロスを狙えるのは強い動きだと思います。また、場に《邪悪な岩屋/Unholy Grotto》が出ていれば、無限回収も出来ます。インスタントタイミングで使用可能かつ打ち消されにくいので、状況を見極めて使ってあげてください。
《冬の宝珠/Winter Orb》
このデッキの中では少し異色に映るかもしれませんが、このカードはこのデッキにピタリと当てはまります。基本的に1マナで動けるデッキなので、アンタップ制限が他のデッキと比べて苦にならない事が多いのです。そして、このデッキが苦手とする「ミッドレンジ」は、全体除去を搭載している傾向が強いです。もしも全体除去を撃たれたとしても、このカードが場に出ていれば、リカバリーまでの時間を稼ぎ出してくれる事でしょう。過去に存在した強力なアーティファクトの力を存分に味わって下さい。
◆ サイドボード / Sideboards
サイドボードの概念は別項目で解説するので、ここでは採用傾向を簡単にお伝えします。説明しなくても既にご存知だとは思いますが、このデッキのアーキタイプは「アグロ」です。一般的にこのアーキタイプは「コントロール」や「撹乱的アグロ」に強く、「ミッドレンジ」や「コンボ」に弱いです。なので、その部分を補える様にカードを選びました。しかし、一概にはそうとは言えませんので、あくまで参考程度に留めておいて下さい。また、カジュアル・クラシックではレガシーやモダンと違い、文字通り「無数」のデッキタイプが存在しています。なので必然的にサイドボードは「丸く」なります。その点も併せてご覧ください。
《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
何はともあれ墓地対策です。短期決戦型のこのデッキでは、1回でも相手の墓地を空にする事が出来れば、その隙を突き、勝利を掴み取ることができるでしょう。マナが全くかからない事もこのデッキにとっては追い風です。メインでもマナがかからない墓地対策カードが1枚あるので全投入すると合わせて4枚、期待値的には引ける数字です。墓地を空にして、相手のライフも空にしてあげましょう。
《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
追加のハンデスカードです。除去カードで対象に取れないクリーチャーやコンボの決め手、全体除去やアーティファクト、エンチャント等を指定しましょう。1ゲーム目で自分にとって驚異である何枚かのカードを見てると思いますが、その中でも「撃たれたら負ける」カードを指定して下さい。2ゲーム目以降は相手もサイドボーディングを行っているので、フラッシュバックも含めて積極的に使って行きましょう。
《真髄の針/Pithing Needle》
このデッキにはアーティファクトやエンチャントに対抗するカードがハンデスくらいしかありません。なので、起動型能力を持つ「置物(エンチャントやアーティファクトの通称。)」をケアしきれなかった場合に於いては、このカードが有効に働く場面も多いと思います。しかし、このカードが効力を発揮するのは起動型能力を封じる事のみで、常在型能力のアーティファクトやエンチャントには全く効果がありません。そんな時は…やっぱりハンデスに頼るしかなさそうですね。対策を取られる前にスピード勝負に持ち込み、短期決戦でケリをつけましょう。
《根絶/Extirpate》
このカードは対コンボに特化したカードだと思われがちですが、そんな事はありません。実は全体除去を《根絶/Extirpate》するのも、かなり有効な手段と成り得るのです。特に撹乱的アグロはカウンターを中心に「クリーチャー」を守る事が多いです。クリーチャーに対して干渉してこないハンデスは打ち消されないこともままある為、ハンデスが通った後にこのカードで蓋をする、といった作戦が比較的容易に行えます。相手の技量と自分のプレイング次第と言えばそれまでですが、狙う価値のある戦略だと思っています。
《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
対スペルデッキ対策のカードです。アグロデッキに対してはほとんど意味を成さないので呼ばれる事は稀ですが、スペルを中心に組み上げているデッキには劇的に刺さります。相手からのスペルでの干渉を若干でも抑える事が出来たならば、その稼ぎ出した数ターンで勝利をもぎ取る事を可能にします。カウンターカードやロックカードのほとんどは非クリーチャースペルである事が多いので、そういったタイプのデッキにも有効に働きます。ゲーム序盤に最も効力を発揮するカードなので、出来る事なら初期手札に欲しい1枚です。
《残響する衰微/Echoing Decay》
同系統デッキに対する解答として採用してあるカードです。このデッキにも言えることですが、ウィニー型のアグロデッキは同じクリーチャーを複数枚搭載していることが非常に多いです。そして、ウィニークリーチャーのほとんどが2/2までのサイズなので、一方的なアドバンテージを獲得する事が出来ます。また、トークンカードでボードアドバンテージを稼いでくる様なデッキに対しても解答と成り得ます。単純にクリーチャーの数で勝負を持ち込む場合に採用してあげてください。
【有効なサイドボーディング例】
◆ vsアグロデッキ
OUT
1 《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》
2 《強迫/Duress》
2 《冬の宝珠/Winter Orb》
IN
3 《根絶/Extirpate》
2 《残響する衰微/Echoing Decay》
▼《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》は黒のトリプルシンボルです。アグロ対アグロの場合、どうしても速度勝負になりがちなので、3マナというやや重いこのカードは速度の足枷になってしまう事がありがちです。アグロは除去やバーンカードとクリーチャーの数を比べると、クリーチャーの方が少ない事の方が稀です。《強迫/Duress》は相手の「土地でもクリーチャーでもないカード」を落とすので、ミスをする可能性が高いのです。《冬の宝珠/Winter Orb》の仕事は「動きを妨害する動きを防ぐ」のが基本となっており、アグロデッキの様なマナ・カーブが低いデッキに対しては、あまり有効に機能しない事の方が多いです。《根絶/Extirpate》はメインクロッカーや除去を根こそぎ奪い取る事に優れています。手札にメインクロッカーが潜んでいることも多いので、1枚でもクロッカーが落ちたら使って行きましょう。相手のクリーチャーの絶対数が減れば、数で勝負に出ても勝つ事が出来ます。また、《根絶/Extirpate》は相手のドロー後に使用するのが基本原則です。《残響する衰微/Echoing Decay》は個別の説明でもした通り、ウィニーに対して劇的に刺さります。同名のクリーチャーが場に2体以上相手の場に出ているのを見て、最も有効な場面で撃ちましょう。
◆ vsミッドレンジデッキ
OUT
1 《カーノファージ/Carnophage》
2 《血の署名/Sign in Blood》
2 《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
IN
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3 《根絶/Extirpate》
▼《カーノファージ/Carnophage》はミッドレンジデッキに搭載されているクリーチャー達と比べると、どうしても力不足になりがちです。アップキープにダメージを受けるだけの存在となってしまう事が多いでしょう。《血の署名/Sign in Blood》はテンポを崩す可能性が多いにありえるカードです。ただでさえボードアドバンテージを重ねてくるミッドレンジに対して、自らテンポを崩すような事は決して行ってはならないのです。《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》は単なるドローカードに成り下がりがちです。なぜならばミッドレンジデッキに対してウィニークリーチャーを残しておく事は、除去カードやクリーチャーの質の関係上、非常に難しいからです。ドローの役割は《血の公証人/Blood Scrivener》に任せる事にしましょう。戦略的には、全体除去やこのデッキの苦手とする除去の効かない中型クリーチャー等を《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で落とし、更にデッキ内から《根絶/Extirpate》する事を目標とします。システムクリーチャーは《悲劇的な過ち/Tragic Slip》で潰し、残ったクロッカーは《四肢切断/Dismember》していきましょう。クリーチャーのサイズで差が付くことが多いですが、《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》や育った《屍肉喰らい/Carrion Feeder》、《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》から出てくるトークンは、ミッドレンジのクリーチャー達に太刀打ち出来る可能性を秘めたクリーチャーです。意識して使っていきましょう。
◆ vsランプデッキ
OUT
2 《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》
IN
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
▼ランプデッキの根底にあるものは、コンボデッキのそれと同様な動きです。ハンデスでランプカードを引き抜き、相手がもたもたしている内に勝負を決めるのがなかなか良い攻め方なのではないでしょうか。それには初手でキープするハンドがとても重要になってきます。少なくとも1枚以上ハンデスがある手札をキープする様に心掛けて下さい。ランプデッキの最も恐ろしい脅威は、どれもかなりのマナ数を要求してきます。その脅威を序盤からのマナ加速によって1ターンでも早く場に着地させようとするのがランプデッキたる所以なので、コチラの《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》が出る頃には、相手の場に太刀打ち出来ない程の巨大クリーチャーが着地していると思われるので、控えに下がってもらう事にしましょう。ランプデッキのもう一つの特徴として、変形型で無い限りは「直接手札から脅威を唱える」事がほとんどです。つまり、相手が勝負を決めに来る際は必ずと言っていい程、手札にその脅威が存在しているのです。と、言う事は…そう、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》でカードを指定して墓地に沈める事が可能なのです。また、相手のランプカードや脅威を根こそぎ《根絶/Extirpate》してしまうのも時には有効な作戦となるでしょう。
◆ vsコントロールデッキ
OUT
2 《血の署名/Sign in Blood》
1 《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
4 《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
IN
3 《根絶/Extirpate》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2 《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
▼コントロールデッキは、コチラのボードアドバンテージを相対的に塞ぎ込もうとしてきます。なので基本的に相手には「自分で選んで対処をしている」と思わせる事が大事です。そう考えると《血の署名/Sign in Blood》に対して相手が対処してくれるかと言ったら…答えはNoとなるでしょう。《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》も同様の理由から抜ける事になります。相手にとっては1枚のドローより、場に脅威を出される方が嫌と感じることでしょう。それに、これは起動型能力なのでその事も手伝い、ほぼ確実にスルーされてしまう事が多いです。《悲劇的な過ち/Tragic Slip》は、コントロールデッキの大半がウィニークリーチャーを搭載していない事が多いので、交換するカードの筆頭として挙げられます。《根絶/Extirpate》の強みの内の一つに、「ほぼカウンターされない」と言った事が挙げられる事と思います。つまりこのカードは、撃った時点でほぼ確実に効果を発揮するという事です。このカードを最も有効に使うのであれば、上手く《陰謀団式療法/Cabal Therapy》を通す事から始めましょう。幸い《陰謀団式療法/Cabal Therapy》のフラッシュバックコストはマナを使用しないので、相手のタップアウトの隙をつけば、これもまたほぼ確実に通す事が出来るでしょう。その後、デッキの中に少数組み込まれているであろうフィニッシャーを全て追放領域に送り込み、相手の脅威を完全にシャットダウンさせる事が出来たのであれば、もう勝利は目前です。《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》はカウンターカードや場をコントロールする呪文を遅らせる事が出来ます。相手がもたもたしている間にゾンビの群れを突っ込ませましょう。
◆ vsコンボデッキ
OUT
4 《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
1 《屍肉喰らい/Carrion Feeder》
IN
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3 《根絶/Extirpate》
▼コントロールと同じでデッキの種類にもよりますが、コンボデッキはデッキに搭載されているクリーチャー数が少ない事が多いです。なので、《悲劇的な過ち/Tragic Slip》は撃つ対象があまりおらず、手札の中で眠ったままになりがちです。《屍肉喰らい/Carrion Feeder》に関しては、きっとこの子を育てている時間がないと思われるからです。おそらく《屍肉喰らい/Carrion Feeder》が5/5の程良いサイズになる頃には、コチラのライフやライブラリーはとっくに空にされている事でしょう。コンボデッキもアグロデッキとは違ったベクトルで「速度」を追い求めているデッキと言っても差し支えないので、そのような事が起こります。コンボデッキと戦う為にはまず、相手がどのような種類のコンボデッキなのかをしっかり見抜く必要があります。コンボデッキは特定のカードの組み合わせが非常に強力なのですが、逆を言えばその組み合わせさえ崩してしまえば、そこまで恐れるものは無くなるのです。キーカードはデッキによって違ってくるでしょうが、そのどちらか一方を《強迫/Duress》や《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で落とした上で《根絶/Extirpate》してしまえば、かなり戦いやすくなる事は間違いないです。しかし、コンボデッキによっては勝負を決めてくるパターンが数種類ある物も存在するので、油断は禁物です。また、呪文を連鎖してくる、例えば「ドラゴンストーム」の様なデッキには《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》が有効です。覚えておいて損は無いでしょう。
◆ vs撹乱的アグロデッキ
OUT
2 《血の署名/Sign in Blood》
2 《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
IN
2 《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
▼撹乱的アグロデッキはデッキの構成上、どのようなデッキにも対応できる様に構築されていることが多いです。汎用的な反面、それを言い換えるのであれば「器用貧乏」になりがちだということです。その攻守を打ち崩すのには1つの「風穴」を開けれやれば、必然的に答えは見えてくるのです。《血の署名/Sign in Blood》はドロー加速にしかならず、相手が脅威と感じてくれることは少ないでしょう。つまり、「ドローで引いてきたカードを対処すればいいのだ」と。故にこのカードは「自らに2点ダメージを負う」とだけ書かれたカードになってしまいます。《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》の能力は打ち消されにくく優秀ですが、どんなデッキにも対処できるように作られていることが多い関係上、起動型能力を打ち消す呪文も含まれていることがほとんどです。クリーチャーを並べながらこの能力を連打するまでには時間が掛かり、これも決定打となる場面が少なくなってしまいます。どちらかと言うと「コチラのやりたい事をさせない」動きが強いデッキである撹乱的アグロは、その中心が呪文であることが多いです。なので《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》を刺しつつ動きを緩慢にし、相手の勝ち手段は《陰謀団式療法/Cabal Therapy》等で落として行くのがベターです。その小さく空いた「風穴」に、コチラの中型クリーチャーを突撃させれば、その風穴はみるみる広がっていく事でしょう。
◆その他
《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》と《真髄の針/Pithing Needle》に関しては、相手が使ってくるカードに応じて投入して下さい。投入した際、この2枚のカードはほぼ確実に初期手札に欲しいカードとなっていますので、残り手札1枚になるまでマリガンをするくらいの気持ちを心掛けてください。また、このデッキの最大の弱点は、早いターンに《虚空の杯/Chalice of the Void》を置かれたら、勝ち手段は皆無な事です。勝算はゼロ以外の何物でもないので、素直に負けを認めましょう。それがどうしても嫌なのであれば、サイドボードに《Gate to Phyrexia》を忍ばせるといった事も考えられます。例えそのプランを採用したとしても勝てる確率はほぼゼロに等しいので、あまりお勧めはしません。
【ゾンビ達の基本的な飼育方法。】
・基本的にこのデッキは土地が1枚あれば回ります。土地が1枚、クリーチャーが2枚、除去かハンデスが1枚あれば、好スタートをきれるでしょう。
・このデッキの最も基本的なプランは、先にも記しましたが「2点ダメージを相手本体に10回叩き込む」となっています。2/2クリーチャーを中心に組まれたこのデッキの理想としては、1ターン目からクリーチャーを展開し、対戦相手にプレッシャーを掛けていけるのが望ましいですね。場に3〜4体のゾンビが蠢いているなら、なかなか立派なゾンビマスターと言えるでしょう。準備が整ったら攻撃、攻撃、更に攻撃です!手を休めることの無い様、怒涛のラッシュをブチかましてください!
・時にはブロックされ、儚く散って行く事を知りつつもアタックすべき状況があることを忘れないで下さい。3体でアタックして1匹しかブロックされなければ4点ダメージです。一刻も早く勝負を決め、相手の体制が整う前に決着をつけるのがアグロデッキのセオリーです。
・このデッキには除去呪文が合計で8枚搭載されていますが、ゲーム中に引けるとすればおおよそ2枚程度でしょう。その除去カードを無駄にしないように使っていって下さい。このデッキの戦略は「数で押す」です。2/2以下のクリーチャーは同士討ち出来ると思うので、コチラの戦略を崩してくるようなシステムクリーチャーや、3/3以上のクロッカーの為に除去を使って行きましょう。
・ハンデスカードはとても貴重な存在です。対戦相手が呪文を唱えて場に出る、効果を発揮する前に、手札にある状態でそのカードを叩き落とす事が出来るならば、あなたへの被害はゼロです。重ね重ねになりますが、全体除去や除去の効かない大型クリーチャー、攻撃制限カードはこのデッキに大きな致命傷を負わせる事になるので、そういったカードを事前にノックアウトする事こそがゾンビマスター、言うなれば黒遣いとしての嗜みと言えるでしょう。
・サイドボーディングの際は、搭載されているクリーチャー枚数に気を付けて下さい。このデッキはほぼ確実にビートダウンで片を付けるデッキなので、ある程度のクリーチャー数が絶対必要になってきます。安易にクリーチャーを抜く事は避けたいですね。スピードを意識しつつ、場に出にくい《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》や《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》のトークンと相談しながらサイドボーディングを行ない、デッキを再構築させてください。
上手にゾンビ達を使役し、立派なゾンビマスターになってくださいね。
文章:Ebth Mousound
翻訳:ヱロゐ人。
【脳味噌が食べられてしまう前に。】
みなさんは「ゾンビ」と聞くと何を思い浮かべますか?ある人は『倒しても倒しても何度も蘇る』と言うでしょう。またある人は『群れで襲いかかってくる』とも。少ない意見で言えば『死体が合体して、1つの巨大なゾンビになるんだ!』なんてのもあったりします。
よろしい、全て叶えましょう!このデッキにはその全ての要素が入っています。ゾンビ達は倒されても倒されても墓地や手札から何度も蘇り、対戦相手に群れで襲いかかります。そして死体が「補充」された暁には、巨大なゾンビの王が戦場に降臨するのです!
このデッキはそういった「フレイバー」を重視して作られていますが、実力は相当なモノです。自信を持ってオススメ出来るデッキに仕上がっています。このデッキを使った貴方はその強さと、醜くも美しい耽美なるゾンビの世界に魅了されてしまう事でしょう。
また、このデッキの名前はインスピレーションを受けた同名のボードゲームから付けさせてもらいました。単純なルールで皆で盛り上がる事の出来る、素晴らしい「バカゲー(賞賛の言葉です)」になっているので、機会があったら是非プレイしてみて下さい。
…おや?そうこうしている間にも向こうからやって来てくれたみたいですよ。聞こえてきたでしょう、彼らの呻き声が。ほら、貴方の後ろにも…!
【デッキリスト】
《ゾンビーズ!!! / Zombies!!!》
メインボード / Mainboards
土地 / Lands:17枚
14 《沼/Swamp》
2 《邪悪な岩屋/Unholy Grotto》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
クリーチャー / Creatures:25枚
2 《カーノファージ/Carnophage》
4 《戦墓のグール/Diregraf Ghoul》
2 《肉占い/Sarcomancy》
4 《墓所這い/Gravecrawler》
4 《屍肉喰らい/Carrion Feeder》
3 《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》
2 《血の公証人/Blood Scrivener》
4 《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》
呪文 / Spells:18枚
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2 《強迫/Duress》
4 《四肢切断/Dismember》
4 《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
2 《血の署名/Sign in Blood》
2 《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
2 《冬の宝珠/Winter Orb》
サイドボード / Sideboards:15枚
3 《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3 《真髄の針/Pithing Needle》
3 《根絶/Extirpate》
2 《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
【各カードの解説】
◆ 土地 / Lands
《沼/Swamp》
このデッキの(仕事をする上での)平均マナコストは何と「1.37」です。その事実がこの土地の少なさを裏付けています。土地の採用枚数が合計で17枚と言うのは、通常のアグロデッキと比べても少ない枚数ですが、その中でも安定してマナを出せる基本地形が14枚しかないと言う事は、逆を言えばそれ以外のカードはマナを発生させる以外の「何らかの仕事」を行うと言う事です。時に十分な枚数の土地を引けない事があるかもしれませんが、このデッキは基本的に土地が1枚あればデッキが動くように作られています。少ないマナを有効活用し、活路を見出してください。
《邪悪な岩屋/Unholy Grotto》
墓地にあるゾンビをライブラリートップに戻すカードです。主にシナジーを形成するのは《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》ですが、その他のカードとも相性は良好です。しかしながら、この土地カードからは無色のマナしか生成する事が出来ないので、土地として換算するには少し不安が残ります。と、言うのも、このデッキに採用しているほとんどのカードは無色のマナを必要としないからです。初手でこの土地をキープする場合には気をつけてください。
《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
メインボードから気軽に採用出来る墓地対策カードです。タップインなのでテンポロスになってしまいますが、2枚目以降の「沼」とみるならば、なかなかにいい働きだと思います。対戦相手を対象に取る事が出来なかった場合には自分の墓地を対象に取らざるを得ないので、出すタイミングには気をつけてください。
◆ クリーチャー / Creatures
《カーノファージ/Carnophage》
メインアタッカーです。安定した使役には多少の痛みが伴いますが、それを感じさせない程パワフルな働きをしてくれるでしょう。このクリーチャーもそうですが、このデッキは「2点ダメージを相手本体に10回叩き込む」というプランで成り立っています。1体1体の役割を冷静に見極め、生贄に捧げるかブロッカーにするか、はたまたアタッカーにするのかを的確に指示してあげていって下さい。(何と言っても、この子達には「脳味噌」が無いですからね。)
《戦墓のグール/Diregraf Ghoul》
コチラもこのデッキを代表するメインアタッカーです。一度戦場に出てしまえば《カーノファージ/Carnophage》よりも優秀なので、採用枚数は4枚となっています。タップインが少し煩わしいですが、このデメリットが敗因に繋がることは稀でしょう。また、このデッキのウィニークリーチャー達は全て「使い捨て」と考えて下さい。土地の項目にも少し書きましたが、このデッキは土地の枚数が極端に少なく構成されています。ドローしてくるカードのほとんどは盤面に有効に働くカード達なので、上手に使って試合を有利に進めていって下さい。
《肉占い/Sarcomancy》
コレ自体はエンチャントですが、真の所、このカードは優秀な「ウィニークリーチャー」です。このデッキに関して言えば、デメリットはほぼ感じられないでしょう。1ターン目から2/2クリーチャーを着地させる事が出来るデッキは、そう多くはありません。ゲーム序盤から相手のライフを果敢に攻め、常にライフに於いて優位に立てている様な展開が望ましいですね。
《墓所這い/Gravecrawler》
このデッキのメインエンジンになります。墓地から蘇る事によって《肉占い/Sarcomancy》のデメリットを帳消しにしたり、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》のフラッシュバックコストに充てたり、《屍肉喰らい/Carrion Feeder》に自身を食べさせて彼を成長させたりと、使い方に関しては枚数に暇が無いです。ただしブロックに回る事は出来ないので、相手に対処出来ない程のファッティが出て来た場合は、《屍肉喰らい/Carrion Feeder》の餌となり、彼を育てる「餌」として尽力して下さい。
《屍肉喰らい/Carrion Feeder》
このデッキのメインエンジンその2です。陰鬱の達成や探索カウンターを乗せる等、この子の行える仕事は多岐に渡ります。また、この子はデッキに入っているクリーチャーの中でも一番の成長株で、上手く育て上げることが出来ればそのサイズは、かのエムラクールすら超えることが出来ることでしょう。カジュアル・クラシックに限った事では無いですが、この子を中心に動く事が出来れば、相手の《剣を鍬に/Swords to Plowshares》や《流刑への道/Path to Exile》をかわす事が容易になります。タイミングを見極めて上手に避けましょう。
《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》
死体を寄せ集める事によって降臨するゾンビの王様です。単体のサイズで見れば、このデッキの中で最大のサイズを持ったクリーチャーです。クリーチャー同士の戦闘に於いて、5/5という巨大なサイズのクリーチャーが落とされる事はまず無いと言っても過言では無いでしょう。バウンス呪文や明滅呪文に弱いという欠点はありますが、それを差し引いたとしても有り余るスピードと火力が対戦相手を恐怖のドン底に叩き落とすでしょう。何せこの王様が着地するのには1マナしか必要としないのですから。
《血の公証人/Blood Scrivener》
このデッキはしばしば手札が無い事に悩まされます。それを逆手に取り、アドバンテージに変えてしまうのがこの子の仕事です。レガシープレイヤーには痛くない《闇の腹心/Dark Confidant》と言えば理解が早いかと思います。この子が無事に着地出来たとしたら、圧倒的なドロー加速と驚異の展開力で、場をゾンビの群れで満たしてあげましょう。腐っても(とは言いつつも、元々身体は腐ってはいますが)サイズは2/1、しっかりとクロックも刻める憎いヤツです。
《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》
この子はとにかく仕事が出来る子です。場に出て仕事をして、一度墓地に落ちて仕事をして、場に戻って来て仕事をして、クロックを刻んで仕事をして、また墓地に行って仕事をして…。日本人も尻尾を巻いて逃げ出す程のハードワーカーです。柔軟性に富んだユーティリティカードだと言う事に間違いは無いのですが、黒マナを3つも使う為、少し場に出にくく感じるのが残念な所です。しかし、一度場に出てさえしまえば必要最低限の仕事はこなしているので、出せる場面では積極的に狙って行きましょう。
◆ 呪文 / Spells
《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
相手のカードを狙い撃ちして落とせるスナイパーカードです。使いこなす為には相当量の知識が伴いますが、2ゲーム目以降であれば比較的容易に狙い落とせるでしょう。基本的には《神の怒り/Wrath of God》の様な全体除去を叩き落とす為に使いますが、黒という色の特性上アーティファクトとエンチャントに触りにくい為、それらのカードを落とすのにも使えます。クリーチャーが墓地に落ちる事をトリガーとするカードが場に出ている場合は、即座にフラッシュバックを使用し、2回続けて撃って行きましょう。カードを2枚使用してしまいますが、相手の手札で最も撃たれたくないカードを確実に落とせます。
《強迫/Duress》
覚えておいて欲しいのが、このデッキは比較的多めにクリーチャー除去が搭載されていますが、クリーチャー以外のカードに積極的干渉が出来るのは、ハンデスカードを除くと《冬の宝珠/Winter Orb》だけということです。クリーチャー以外の呪文は、撃たれる前に墓地に送ってあげましょう。ゲーム序盤に撃てればほぼ間違い無く何かしらのカードが落せると思います。そして、何と言っても「相手の手札が見えている状況」というのは潜在的アドバンテージを内包しており、カードを使用する順番や除去の使い道など、コチラの戦略を遂行する上でかなり有効に働く事が多いです。また、相手のカウンター呪文を誘えたりもするので、ゲーム中盤から後半に引いてきても腐りにくいカードと言えるでしょう。
《四肢切断/Dismember》
スーサイド要素の強い、低コストの除去カードです。-5/-5に耐えうるクリーチャーはまずいないでしょう。ライフ4点の損失はかなり手痛いですが、構えておくマナが1マナで良いと言うのは、テンポの面から見ても大変優れているカードと言えます。基本的に1マナで撃つ事になるカードなので、残りライフには常に気を付けていて下さい。相手のメインクロッカーを落としつつ、コチラのクリーチャーを通す為に使うので、基本的にはミッドレンジ(目安として3/3)以上のクリーチャーに使うように心掛けていってください。
《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
陰鬱を達成すると落とせないカードはほとんど無くなる、優秀な除去呪文です。基本的には相手のシステムクリーチャーを排除する為に使いますが、《屍肉喰らい/Carrion Feeder》との相性は抜群で、自分の好きなタイミングで陰鬱を達成させ、フィニッシャー級の重量クリーチャーをも落とす事が可能になります。コチラも1マナ構えていればいつでも撃てるので、《四肢切断/Dismember》と合わせてブラフが機能します。時には自殺覚悟のチャンプアタックをしてみても面白いかもしれませんね。
《血の署名/Sign in Blood》
残り2点を削り取る、フィニッシャーにもなり得るドローカードです。自分の手札が少ない場合にはドローソースとして機能し、相手のライフが少ない場合にはダメージソースとして機能します。このカードの実力はかなりのもので、本来ならば4枚搭載したい所です。しかしながらこのカード唯一の弱点として「テンポロス」が挙げられます。この唯一の弱点が、速さが重要視されるアグロデッキにとっては何とも致命的で、マナを切り詰めているこのデッキにとっては更に明確な弱点となってしまいます。言い過ぎかもしれませんが、「1ターンを無駄にしてカードを2枚得る」と言っても差し支えないと思っています。アグロデッキの1ターンは何物にも代え難いもので、テンポを崩してまでカードが欲しい事は稀です。それに、このデッキには他にもドローソースが存在しているので、このカードが輝ける場面はそこまで多くはありません。なので、この枚数に落ち着きました。アーキタイプによって搭載枚数に差が出る良い例ですね。
《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
ドローをしながら相手のライフを攻められる一人二役のカードです。マナコストを見てもらえば分かる通り、このカードが場に出る事はまずありえません。サイクリング能力を目当てに使っていきます。なので「呪文」の項目に当て込みました。ドローをしながら(平均的に)2点のライフロスを狙えるのは強い動きだと思います。また、場に《邪悪な岩屋/Unholy Grotto》が出ていれば、無限回収も出来ます。インスタントタイミングで使用可能かつ打ち消されにくいので、状況を見極めて使ってあげてください。
《冬の宝珠/Winter Orb》
このデッキの中では少し異色に映るかもしれませんが、このカードはこのデッキにピタリと当てはまります。基本的に1マナで動けるデッキなので、アンタップ制限が他のデッキと比べて苦にならない事が多いのです。そして、このデッキが苦手とする「ミッドレンジ」は、全体除去を搭載している傾向が強いです。もしも全体除去を撃たれたとしても、このカードが場に出ていれば、リカバリーまでの時間を稼ぎ出してくれる事でしょう。過去に存在した強力なアーティファクトの力を存分に味わって下さい。
◆ サイドボード / Sideboards
サイドボードの概念は別項目で解説するので、ここでは採用傾向を簡単にお伝えします。説明しなくても既にご存知だとは思いますが、このデッキのアーキタイプは「アグロ」です。一般的にこのアーキタイプは「コントロール」や「撹乱的アグロ」に強く、「ミッドレンジ」や「コンボ」に弱いです。なので、その部分を補える様にカードを選びました。しかし、一概にはそうとは言えませんので、あくまで参考程度に留めておいて下さい。また、カジュアル・クラシックではレガシーやモダンと違い、文字通り「無数」のデッキタイプが存在しています。なので必然的にサイドボードは「丸く」なります。その点も併せてご覧ください。
《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
何はともあれ墓地対策です。短期決戦型のこのデッキでは、1回でも相手の墓地を空にする事が出来れば、その隙を突き、勝利を掴み取ることができるでしょう。マナが全くかからない事もこのデッキにとっては追い風です。メインでもマナがかからない墓地対策カードが1枚あるので全投入すると合わせて4枚、期待値的には引ける数字です。墓地を空にして、相手のライフも空にしてあげましょう。
《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
追加のハンデスカードです。除去カードで対象に取れないクリーチャーやコンボの決め手、全体除去やアーティファクト、エンチャント等を指定しましょう。1ゲーム目で自分にとって驚異である何枚かのカードを見てると思いますが、その中でも「撃たれたら負ける」カードを指定して下さい。2ゲーム目以降は相手もサイドボーディングを行っているので、フラッシュバックも含めて積極的に使って行きましょう。
《真髄の針/Pithing Needle》
このデッキにはアーティファクトやエンチャントに対抗するカードがハンデスくらいしかありません。なので、起動型能力を持つ「置物(エンチャントやアーティファクトの通称。)」をケアしきれなかった場合に於いては、このカードが有効に働く場面も多いと思います。しかし、このカードが効力を発揮するのは起動型能力を封じる事のみで、常在型能力のアーティファクトやエンチャントには全く効果がありません。そんな時は…やっぱりハンデスに頼るしかなさそうですね。対策を取られる前にスピード勝負に持ち込み、短期決戦でケリをつけましょう。
《根絶/Extirpate》
このカードは対コンボに特化したカードだと思われがちですが、そんな事はありません。実は全体除去を《根絶/Extirpate》するのも、かなり有効な手段と成り得るのです。特に撹乱的アグロはカウンターを中心に「クリーチャー」を守る事が多いです。クリーチャーに対して干渉してこないハンデスは打ち消されないこともままある為、ハンデスが通った後にこのカードで蓋をする、といった作戦が比較的容易に行えます。相手の技量と自分のプレイング次第と言えばそれまでですが、狙う価値のある戦略だと思っています。
《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
対スペルデッキ対策のカードです。アグロデッキに対してはほとんど意味を成さないので呼ばれる事は稀ですが、スペルを中心に組み上げているデッキには劇的に刺さります。相手からのスペルでの干渉を若干でも抑える事が出来たならば、その稼ぎ出した数ターンで勝利をもぎ取る事を可能にします。カウンターカードやロックカードのほとんどは非クリーチャースペルである事が多いので、そういったタイプのデッキにも有効に働きます。ゲーム序盤に最も効力を発揮するカードなので、出来る事なら初期手札に欲しい1枚です。
《残響する衰微/Echoing Decay》
同系統デッキに対する解答として採用してあるカードです。このデッキにも言えることですが、ウィニー型のアグロデッキは同じクリーチャーを複数枚搭載していることが非常に多いです。そして、ウィニークリーチャーのほとんどが2/2までのサイズなので、一方的なアドバンテージを獲得する事が出来ます。また、トークンカードでボードアドバンテージを稼いでくる様なデッキに対しても解答と成り得ます。単純にクリーチャーの数で勝負を持ち込む場合に採用してあげてください。
【有効なサイドボーディング例】
◆ vsアグロデッキ
OUT
1 《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》
2 《強迫/Duress》
2 《冬の宝珠/Winter Orb》
IN
3 《根絶/Extirpate》
2 《残響する衰微/Echoing Decay》
▼《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》は黒のトリプルシンボルです。アグロ対アグロの場合、どうしても速度勝負になりがちなので、3マナというやや重いこのカードは速度の足枷になってしまう事がありがちです。アグロは除去やバーンカードとクリーチャーの数を比べると、クリーチャーの方が少ない事の方が稀です。《強迫/Duress》は相手の「土地でもクリーチャーでもないカード」を落とすので、ミスをする可能性が高いのです。《冬の宝珠/Winter Orb》の仕事は「動きを妨害する動きを防ぐ」のが基本となっており、アグロデッキの様なマナ・カーブが低いデッキに対しては、あまり有効に機能しない事の方が多いです。《根絶/Extirpate》はメインクロッカーや除去を根こそぎ奪い取る事に優れています。手札にメインクロッカーが潜んでいることも多いので、1枚でもクロッカーが落ちたら使って行きましょう。相手のクリーチャーの絶対数が減れば、数で勝負に出ても勝つ事が出来ます。また、《根絶/Extirpate》は相手のドロー後に使用するのが基本原則です。《残響する衰微/Echoing Decay》は個別の説明でもした通り、ウィニーに対して劇的に刺さります。同名のクリーチャーが場に2体以上相手の場に出ているのを見て、最も有効な場面で撃ちましょう。
◆ vsミッドレンジデッキ
OUT
1 《カーノファージ/Carnophage》
2 《血の署名/Sign in Blood》
2 《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
IN
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3 《根絶/Extirpate》
▼《カーノファージ/Carnophage》はミッドレンジデッキに搭載されているクリーチャー達と比べると、どうしても力不足になりがちです。アップキープにダメージを受けるだけの存在となってしまう事が多いでしょう。《血の署名/Sign in Blood》はテンポを崩す可能性が多いにありえるカードです。ただでさえボードアドバンテージを重ねてくるミッドレンジに対して、自らテンポを崩すような事は決して行ってはならないのです。《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》は単なるドローカードに成り下がりがちです。なぜならばミッドレンジデッキに対してウィニークリーチャーを残しておく事は、除去カードやクリーチャーの質の関係上、非常に難しいからです。ドローの役割は《血の公証人/Blood Scrivener》に任せる事にしましょう。戦略的には、全体除去やこのデッキの苦手とする除去の効かない中型クリーチャー等を《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で落とし、更にデッキ内から《根絶/Extirpate》する事を目標とします。システムクリーチャーは《悲劇的な過ち/Tragic Slip》で潰し、残ったクロッカーは《四肢切断/Dismember》していきましょう。クリーチャーのサイズで差が付くことが多いですが、《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》や育った《屍肉喰らい/Carrion Feeder》、《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》から出てくるトークンは、ミッドレンジのクリーチャー達に太刀打ち出来る可能性を秘めたクリーチャーです。意識して使っていきましょう。
◆ vsランプデッキ
OUT
2 《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》
IN
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
▼ランプデッキの根底にあるものは、コンボデッキのそれと同様な動きです。ハンデスでランプカードを引き抜き、相手がもたもたしている内に勝負を決めるのがなかなか良い攻め方なのではないでしょうか。それには初手でキープするハンドがとても重要になってきます。少なくとも1枚以上ハンデスがある手札をキープする様に心掛けて下さい。ランプデッキの最も恐ろしい脅威は、どれもかなりのマナ数を要求してきます。その脅威を序盤からのマナ加速によって1ターンでも早く場に着地させようとするのがランプデッキたる所以なので、コチラの《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》が出る頃には、相手の場に太刀打ち出来ない程の巨大クリーチャーが着地していると思われるので、控えに下がってもらう事にしましょう。ランプデッキのもう一つの特徴として、変形型で無い限りは「直接手札から脅威を唱える」事がほとんどです。つまり、相手が勝負を決めに来る際は必ずと言っていい程、手札にその脅威が存在しているのです。と、言う事は…そう、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》でカードを指定して墓地に沈める事が可能なのです。また、相手のランプカードや脅威を根こそぎ《根絶/Extirpate》してしまうのも時には有効な作戦となるでしょう。
◆ vsコントロールデッキ
OUT
2 《血の署名/Sign in Blood》
1 《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
4 《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
IN
3 《根絶/Extirpate》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2 《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
▼コントロールデッキは、コチラのボードアドバンテージを相対的に塞ぎ込もうとしてきます。なので基本的に相手には「自分で選んで対処をしている」と思わせる事が大事です。そう考えると《血の署名/Sign in Blood》に対して相手が対処してくれるかと言ったら…答えはNoとなるでしょう。《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》も同様の理由から抜ける事になります。相手にとっては1枚のドローより、場に脅威を出される方が嫌と感じることでしょう。それに、これは起動型能力なのでその事も手伝い、ほぼ確実にスルーされてしまう事が多いです。《悲劇的な過ち/Tragic Slip》は、コントロールデッキの大半がウィニークリーチャーを搭載していない事が多いので、交換するカードの筆頭として挙げられます。《根絶/Extirpate》の強みの内の一つに、「ほぼカウンターされない」と言った事が挙げられる事と思います。つまりこのカードは、撃った時点でほぼ確実に効果を発揮するという事です。このカードを最も有効に使うのであれば、上手く《陰謀団式療法/Cabal Therapy》を通す事から始めましょう。幸い《陰謀団式療法/Cabal Therapy》のフラッシュバックコストはマナを使用しないので、相手のタップアウトの隙をつけば、これもまたほぼ確実に通す事が出来るでしょう。その後、デッキの中に少数組み込まれているであろうフィニッシャーを全て追放領域に送り込み、相手の脅威を完全にシャットダウンさせる事が出来たのであれば、もう勝利は目前です。《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》はカウンターカードや場をコントロールする呪文を遅らせる事が出来ます。相手がもたもたしている間にゾンビの群れを突っ込ませましょう。
◆ vsコンボデッキ
OUT
4 《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
1 《屍肉喰らい/Carrion Feeder》
IN
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
3 《根絶/Extirpate》
▼コントロールと同じでデッキの種類にもよりますが、コンボデッキはデッキに搭載されているクリーチャー数が少ない事が多いです。なので、《悲劇的な過ち/Tragic Slip》は撃つ対象があまりおらず、手札の中で眠ったままになりがちです。《屍肉喰らい/Carrion Feeder》に関しては、きっとこの子を育てている時間がないと思われるからです。おそらく《屍肉喰らい/Carrion Feeder》が5/5の程良いサイズになる頃には、コチラのライフやライブラリーはとっくに空にされている事でしょう。コンボデッキもアグロデッキとは違ったベクトルで「速度」を追い求めているデッキと言っても差し支えないので、そのような事が起こります。コンボデッキと戦う為にはまず、相手がどのような種類のコンボデッキなのかをしっかり見抜く必要があります。コンボデッキは特定のカードの組み合わせが非常に強力なのですが、逆を言えばその組み合わせさえ崩してしまえば、そこまで恐れるものは無くなるのです。キーカードはデッキによって違ってくるでしょうが、そのどちらか一方を《強迫/Duress》や《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で落とした上で《根絶/Extirpate》してしまえば、かなり戦いやすくなる事は間違いないです。しかし、コンボデッキによっては勝負を決めてくるパターンが数種類ある物も存在するので、油断は禁物です。また、呪文を連鎖してくる、例えば「ドラゴンストーム」の様なデッキには《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》が有効です。覚えておいて損は無いでしょう。
◆ vs撹乱的アグロデッキ
OUT
2 《血の署名/Sign in Blood》
2 《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》
IN
2 《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
2 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
▼撹乱的アグロデッキはデッキの構成上、どのようなデッキにも対応できる様に構築されていることが多いです。汎用的な反面、それを言い換えるのであれば「器用貧乏」になりがちだということです。その攻守を打ち崩すのには1つの「風穴」を開けれやれば、必然的に答えは見えてくるのです。《血の署名/Sign in Blood》はドロー加速にしかならず、相手が脅威と感じてくれることは少ないでしょう。つまり、「ドローで引いてきたカードを対処すればいいのだ」と。故にこのカードは「自らに2点ダメージを負う」とだけ書かれたカードになってしまいます。《宝石の手の汚染者/Gempalm Polluter》の能力は打ち消されにくく優秀ですが、どんなデッキにも対処できるように作られていることが多い関係上、起動型能力を打ち消す呪文も含まれていることがほとんどです。クリーチャーを並べながらこの能力を連打するまでには時間が掛かり、これも決定打となる場面が少なくなってしまいます。どちらかと言うと「コチラのやりたい事をさせない」動きが強いデッキである撹乱的アグロは、その中心が呪文であることが多いです。なので《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》を刺しつつ動きを緩慢にし、相手の勝ち手段は《陰謀団式療法/Cabal Therapy》等で落として行くのがベターです。その小さく空いた「風穴」に、コチラの中型クリーチャーを突撃させれば、その風穴はみるみる広がっていく事でしょう。
◆その他
《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》と《真髄の針/Pithing Needle》に関しては、相手が使ってくるカードに応じて投入して下さい。投入した際、この2枚のカードはほぼ確実に初期手札に欲しいカードとなっていますので、残り手札1枚になるまでマリガンをするくらいの気持ちを心掛けてください。また、このデッキの最大の弱点は、早いターンに《虚空の杯/Chalice of the Void》を置かれたら、勝ち手段は皆無な事です。勝算はゼロ以外の何物でもないので、素直に負けを認めましょう。それがどうしても嫌なのであれば、サイドボードに《Gate to Phyrexia》を忍ばせるといった事も考えられます。例えそのプランを採用したとしても勝てる確率はほぼゼロに等しいので、あまりお勧めはしません。
【ゾンビ達の基本的な飼育方法。】
・基本的にこのデッキは土地が1枚あれば回ります。土地が1枚、クリーチャーが2枚、除去かハンデスが1枚あれば、好スタートをきれるでしょう。
・このデッキの最も基本的なプランは、先にも記しましたが「2点ダメージを相手本体に10回叩き込む」となっています。2/2クリーチャーを中心に組まれたこのデッキの理想としては、1ターン目からクリーチャーを展開し、対戦相手にプレッシャーを掛けていけるのが望ましいですね。場に3〜4体のゾンビが蠢いているなら、なかなか立派なゾンビマスターと言えるでしょう。準備が整ったら攻撃、攻撃、更に攻撃です!手を休めることの無い様、怒涛のラッシュをブチかましてください!
・時にはブロックされ、儚く散って行く事を知りつつもアタックすべき状況があることを忘れないで下さい。3体でアタックして1匹しかブロックされなければ4点ダメージです。一刻も早く勝負を決め、相手の体制が整う前に決着をつけるのがアグロデッキのセオリーです。
・このデッキには除去呪文が合計で8枚搭載されていますが、ゲーム中に引けるとすればおおよそ2枚程度でしょう。その除去カードを無駄にしないように使っていって下さい。このデッキの戦略は「数で押す」です。2/2以下のクリーチャーは同士討ち出来ると思うので、コチラの戦略を崩してくるようなシステムクリーチャーや、3/3以上のクロッカーの為に除去を使って行きましょう。
・ハンデスカードはとても貴重な存在です。対戦相手が呪文を唱えて場に出る、効果を発揮する前に、手札にある状態でそのカードを叩き落とす事が出来るならば、あなたへの被害はゼロです。重ね重ねになりますが、全体除去や除去の効かない大型クリーチャー、攻撃制限カードはこのデッキに大きな致命傷を負わせる事になるので、そういったカードを事前にノックアウトする事こそがゾンビマスター、言うなれば黒遣いとしての嗜みと言えるでしょう。
・サイドボーディングの際は、搭載されているクリーチャー枚数に気を付けて下さい。このデッキはほぼ確実にビートダウンで片を付けるデッキなので、ある程度のクリーチャー数が絶対必要になってきます。安易にクリーチャーを抜く事は避けたいですね。スピードを意識しつつ、場に出にくい《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger》や《墓所王の探索/Quest for the Gravelord》のトークンと相談しながらサイドボーディングを行ない、デッキを再構築させてください。
上手にゾンビ達を使役し、立派なゾンビマスターになってくださいね。
文章:Ebth Mousound
翻訳:ヱロゐ人。
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