短期集中連載MTG自伝小説Vol.1:多分この1回で終わると思うよ。
2013年5月10日 MTG コメント (1)
《春分/Vernal Equinox》が過ぎ去り、《花盛りの夏/Summer Bloom》が近づく5月のある日、筆者は《突然の衝撃/Sudden Impact》を受けた。
「そうだ、リアルでマジックをやろう!」
意味が分からなかった。今までは“Magic Online”で世界各国のプレインズウォーカー達と電脳世界で刃を交えていた筆者が、何故唐突にそんなことを思い付いたのか自身でも理解ができなかった。
しかし、アイディアというものは、シャワーを浴びながら《ティタニアの歌/Titania’s Song》を歌っているときであったり、トイレに籠もって《無限のワーム/Endless Wurm》を捻り出している時であったりと、いずれにしても毎回インスタントタイミングでやってくる。このアイディアというものは、さながら《天才のひらめき/Stroke of Genius》のそれに近い。(それに、このアドバンテージ過多な呪文を《妨害/Thwart》できるのは“インタラプト”と表示されている職場からの電話だけであろう。)そんな《衝動/Impulse》に駆られた筆者は少し冷静になって考えた。
「いや、そんなに都合良く休みがあるわけが無いよなぁ…。」
もし勤務表を確認したとしてもきっと《落胆/Despondency》するだけだろう。…いや、しかし待て。この答えに辿り着くにはいささか早計過ぎる。速攻を付与してまでも辿り着く答えだとは思わなかった筆者は、もしかしたら《最後のチャンス/Last Chance》が残されているかもしれないと思い、恐る恐る《ドルイドの物入れ/Druidic Satchel》から勤務表を取り出してシフトを確認する。そこにはこう記されていた。
「公休」
この日、埼玉の南部一帯に《彼方からの雄叫び/Howl from Beyond》が響き渡ったのは言うまでも無いだろう。よし、まずは第一関門を突破した。これで筆者を《邪魔/Hinder》するものは無くなった。次は何だ、リアルでMTGをプレイする為に必要なものは…と、《高まる野心/Increasing Ambition》を抑えつつ、既に頭の中でデッキを一人回ししていた筆者が、ある重大な事実に気が付いたのは戦場に5枚目の《森/Forest》を置いたのと同時だった。
「友達がいねぇよ…。」
そう、筆者の周りにはシフト制の仕事をしている人が多いので、なかなか休みが合わないのだ。筆者の公休だった日は土曜日。つまり明日だ。一般的には休みが多いとされる曜日だが、生憎その類のMTG関連の友人はおらず、まるで《憂鬱/Gloom》のイラストの様な有様になってしまった。…しかし、ここで諦める筆者ではない。そんな《ふにゃふにゃ/Searing Touch》な精神状態だと、対戦開始直後に満面の笑みで《Library of Alexandria》の門を叩きに行く様なプレイヤーがチラホラいるカジュアルクラシックでは、生き延びる事など到底不可能だ。簡単に諦めてしまったら対戦相手に際限無くターンを得られてしまうのがオチである。
そんな《歪んだ世界/Warp World》で鍛えられてきた筆者の《溶鉄の精神/Molten Psyche》は、今まで幾多もの打ち消し呪文を掻い潜り、《ショッカー/Shocker》とのコンボで対戦相手に致死量のダメージを負わせてきたのである。カジュアルクラシック万歳。そんなデッキ作ったことは無いが。
《変化の風/Winds of Change》を呼び込み気持ちを新たに切り替えようと、今までに食べたパンの枚数を思い出しながら《思案/Ponder》していると、どこからともなく《ミューズの囁き/Whispers of the Muse》が聞こえてきた。これはまさに《天啓/Revelation》、《神への捧げ物/Divine Offering》ならぬ“神からの贈り物”であった。そんな“女神”が《溶岩の斧/Lava Axe》のフレイバーテキストを読み上げながら筆者に《投げ飛ばし/Fling》てきた言葉はこうだった。
「大会に出ればいいじゃない。」
そう、大会である。しかし《孤独の都/City of Solitude》に引き籠もっていた筆者は何を隠そう極度の人見知りであり、他人と話す事はおろか、《隠れ家/Safe Haven》から外に出て2バイト文字以外で発言する事を想像しただけでも《吐き気/Nausea》をもよおす。《錯乱した隠遁者/Deranged Hermit》も《驚愕ルーン/Runeboggle》を巻いて逃げ出す程、常に《精神錯乱/Mind Twist》しているのである。
しかし、折角の公休を無駄にする訳にもいかないと、必死に《(意志の力)/Force of Will》を自分の《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》に送り込み、《レガシーの兵器/Legacy Weapon》の再起動を促した。そう、実は筆者、やれば出来るのである。言うなればそれは《滋養飲料の行商人/Tonic Peddler》ですらも《騙し討ち/Sneak Attack》で討ち取れる程の軽やかな《悪意/Spite》をインストールされた《致命的突然変異/Fatal Mutation》である。
読者諸君には理解しかねるであろうが、いつの時代も理由なく始まりは訪れ、終わりはいつだって理由を持つものだ。つまり、緑の大型クリーチャーにトランプルが備わっているのと同じで、何かにつけて理由をつけたがるのが筆者の特性なのである。
時間にすると《らせんの円錐/Helix Pinnacle》に丁度67個目の塔カウンターを乗せた所で無事に再起動した無冠の兵器は、“対戦相手のデッキ”と言う名のパーマネントを続々と破壊していく…ハズだった。が、しかし。またしてもここで問題が発覚する。ウルザブロックやミラディンブロックと同様に、問題発見の遅さが致命的なのが筆者のもう一つの特徴なのである。
それは「どこの大会に行くか」と言うことだ。幸い土曜日はレガシーの大会が《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》の様に全国各地で執り行われている。その中からどこの大会会場に足を運び、選ぶのかということは、さながら《虚空/Void》での数字選びだと言い換えても差し支えないくらいだ。それくらいに“うーん、悩ましい…。”ことに違いは無い。
そんな鬼畜さんのモノマネをしている筆者に対して、どこからともなく《夜の囁き/Night’s Whisper》が聞こえてきた。まさか本人ではあるまいが、耳を傾けるとアーティもビックリのセクシーヴォイスでこう語りかけてきた。
「地元の大会に行ってみようよ。」
筆者もこの意見には大いに賛成票を投じざるを得ない。晴れる屋やアメニティよりか“ガチ”では無いし、何より今までコチラに引っ越してきてから一度も地元のカードショップの大会には出場したことが無かったからだ。久し振りに筆者の《渦まく知識/Brainstorm》を披露するには丁度良いと考えている。大会のフォーマットもレガシーなので、そこも筆者向けであると言えるであろう。
さて、問題は“どのデッキで出るか”まで詰める事が出来る様になって来た。こうして一つ一つ順序良く片付けていけば、今まで《打開/Breakthrough》をX=0で打ち続けてきた意味があるというものだ。人生なんてものは発掘デッキと同じで、今まで捨ててきた物の中から有益な呪文を文字通り“発掘”してこその面白みがあると筆者は考えている。ただ、筆者が発掘するのは主に他人が見向きもしなかったカード達の中から、だが。
現在、筆者の自宅には現行スタンダードで過去のセニョール・ストンピィを模した緑単色デッキ“Small Stompy”と、乗り手の性能によってデッキ性能や強さが爆発的に上がる、まるで《的盧馬/Riding the Dilu Horse》の様な対レガシー仕様の緑単色デッキ“MDR”と、主にMagic Online上のカジュアルクラシックのフォーマットで戦績を残している、以前このDNでも取り上げた“横に並べるデッキ”のステロイド版、《象の強襲!/Elephant Assault!》がある。
色々考えすぎて筆者の考えが《シャドーの迷路/Maze of Shadows》に捕らわれそうになったが、先日DNの模様替えもした事なので今回はカジュアルクラシックスタイルのデッキ、《象の強襲!/Elephant Assault!》で明日の《闘技場/Arena》での戦いに赴きたいと思う。
そうと決まれば話は早い。早速明日の持ち物チェックに取り掛かる。デッキ、サイドボード、ライフカウンター、ダイス、お金…。忘れ物が無いか入念にチェックをしていく。おっと、大切なものを忘れる所だった。最後に必須アイテムのメモ帳とボールペンを《ジョイラの道具箱/Jhoira’s Toolbox》に詰め込んで準備は万端だ。これでいつでもプレインズウォークできるし、ジャムーラの様なコンクリートジャングルを抜けた先にある《オアシス/Oasis》である所の“カードショップミント浦和店”へ出発できると言うものだ。
明日の天気は残念ながら《(酸性雨)/Acid Rain》やら《涙の雨/Rain of Tears》が降ると予報されているが、どんな天気でもどんな結果でも、筆者の心はきっと《鳥の乙女/Bird Maiden》の笑顔の様に素晴らしいモノなっているに違いない。まさに“マジック”。プレイしていることが楽しいゲームは、それ自体が魔法の様なものだ。
そして、来るべき明日の《果たし合いの場/Dueling Grounds》へ赴く為の最終事前準備(其即ち《睡眠/Sleep》以外の何物でもないのだが)で筆者がタップ状態になってしまう前に、この言葉を最後にして今回の日記を“〆る”事にする。
『それではカジュアル・クラシックを始めよう。』
「そうだ、リアルでマジックをやろう!」
意味が分からなかった。今までは“Magic Online”で世界各国のプレインズウォーカー達と電脳世界で刃を交えていた筆者が、何故唐突にそんなことを思い付いたのか自身でも理解ができなかった。
しかし、アイディアというものは、シャワーを浴びながら《ティタニアの歌/Titania’s Song》を歌っているときであったり、トイレに籠もって《無限のワーム/Endless Wurm》を捻り出している時であったりと、いずれにしても毎回インスタントタイミングでやってくる。このアイディアというものは、さながら《天才のひらめき/Stroke of Genius》のそれに近い。(それに、このアドバンテージ過多な呪文を《妨害/Thwart》できるのは“インタラプト”と表示されている職場からの電話だけであろう。)そんな《衝動/Impulse》に駆られた筆者は少し冷静になって考えた。
「いや、そんなに都合良く休みがあるわけが無いよなぁ…。」
もし勤務表を確認したとしてもきっと《落胆/Despondency》するだけだろう。…いや、しかし待て。この答えに辿り着くにはいささか早計過ぎる。速攻を付与してまでも辿り着く答えだとは思わなかった筆者は、もしかしたら《最後のチャンス/Last Chance》が残されているかもしれないと思い、恐る恐る《ドルイドの物入れ/Druidic Satchel》から勤務表を取り出してシフトを確認する。そこにはこう記されていた。
「公休」
この日、埼玉の南部一帯に《彼方からの雄叫び/Howl from Beyond》が響き渡ったのは言うまでも無いだろう。よし、まずは第一関門を突破した。これで筆者を《邪魔/Hinder》するものは無くなった。次は何だ、リアルでMTGをプレイする為に必要なものは…と、《高まる野心/Increasing Ambition》を抑えつつ、既に頭の中でデッキを一人回ししていた筆者が、ある重大な事実に気が付いたのは戦場に5枚目の《森/Forest》を置いたのと同時だった。
「友達がいねぇよ…。」
そう、筆者の周りにはシフト制の仕事をしている人が多いので、なかなか休みが合わないのだ。筆者の公休だった日は土曜日。つまり明日だ。一般的には休みが多いとされる曜日だが、生憎その類のMTG関連の友人はおらず、まるで《憂鬱/Gloom》のイラストの様な有様になってしまった。…しかし、ここで諦める筆者ではない。そんな《ふにゃふにゃ/Searing Touch》な精神状態だと、対戦開始直後に満面の笑みで《Library of Alexandria》の門を叩きに行く様なプレイヤーがチラホラいるカジュアルクラシックでは、生き延びる事など到底不可能だ。簡単に諦めてしまったら対戦相手に際限無くターンを得られてしまうのがオチである。
そんな《歪んだ世界/Warp World》で鍛えられてきた筆者の《溶鉄の精神/Molten Psyche》は、今まで幾多もの打ち消し呪文を掻い潜り、《ショッカー/Shocker》とのコンボで対戦相手に致死量のダメージを負わせてきたのである。カジュアルクラシック万歳。そんなデッキ作ったことは無いが。
《変化の風/Winds of Change》を呼び込み気持ちを新たに切り替えようと、今までに食べたパンの枚数を思い出しながら《思案/Ponder》していると、どこからともなく《ミューズの囁き/Whispers of the Muse》が聞こえてきた。これはまさに《天啓/Revelation》、《神への捧げ物/Divine Offering》ならぬ“神からの贈り物”であった。そんな“女神”が《溶岩の斧/Lava Axe》のフレイバーテキストを読み上げながら筆者に《投げ飛ばし/Fling》てきた言葉はこうだった。
「大会に出ればいいじゃない。」
そう、大会である。しかし《孤独の都/City of Solitude》に引き籠もっていた筆者は何を隠そう極度の人見知りであり、他人と話す事はおろか、《隠れ家/Safe Haven》から外に出て2バイト文字以外で発言する事を想像しただけでも《吐き気/Nausea》をもよおす。《錯乱した隠遁者/Deranged Hermit》も《驚愕ルーン/Runeboggle》を巻いて逃げ出す程、常に《精神錯乱/Mind Twist》しているのである。
しかし、折角の公休を無駄にする訳にもいかないと、必死に《(意志の力)/Force of Will》を自分の《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》に送り込み、《レガシーの兵器/Legacy Weapon》の再起動を促した。そう、実は筆者、やれば出来るのである。言うなればそれは《滋養飲料の行商人/Tonic Peddler》ですらも《騙し討ち/Sneak Attack》で討ち取れる程の軽やかな《悪意/Spite》をインストールされた《致命的突然変異/Fatal Mutation》である。
読者諸君には理解しかねるであろうが、いつの時代も理由なく始まりは訪れ、終わりはいつだって理由を持つものだ。つまり、緑の大型クリーチャーにトランプルが備わっているのと同じで、何かにつけて理由をつけたがるのが筆者の特性なのである。
時間にすると《らせんの円錐/Helix Pinnacle》に丁度67個目の塔カウンターを乗せた所で無事に再起動した無冠の兵器は、“対戦相手のデッキ”と言う名のパーマネントを続々と破壊していく…ハズだった。が、しかし。またしてもここで問題が発覚する。ウルザブロックやミラディンブロックと同様に、問題発見の遅さが致命的なのが筆者のもう一つの特徴なのである。
それは「どこの大会に行くか」と言うことだ。幸い土曜日はレガシーの大会が《真夏のお祭り騒ぎ/Midsummer Revel》の様に全国各地で執り行われている。その中からどこの大会会場に足を運び、選ぶのかということは、さながら《虚空/Void》での数字選びだと言い換えても差し支えないくらいだ。それくらいに“うーん、悩ましい…。”ことに違いは無い。
そんな鬼畜さんのモノマネをしている筆者に対して、どこからともなく《夜の囁き/Night’s Whisper》が聞こえてきた。まさか本人ではあるまいが、耳を傾けるとアーティもビックリのセクシーヴォイスでこう語りかけてきた。
「地元の大会に行ってみようよ。」
筆者もこの意見には大いに賛成票を投じざるを得ない。晴れる屋やアメニティよりか“ガチ”では無いし、何より今までコチラに引っ越してきてから一度も地元のカードショップの大会には出場したことが無かったからだ。久し振りに筆者の《渦まく知識/Brainstorm》を披露するには丁度良いと考えている。大会のフォーマットもレガシーなので、そこも筆者向けであると言えるであろう。
さて、問題は“どのデッキで出るか”まで詰める事が出来る様になって来た。こうして一つ一つ順序良く片付けていけば、今まで《打開/Breakthrough》をX=0で打ち続けてきた意味があるというものだ。人生なんてものは発掘デッキと同じで、今まで捨ててきた物の中から有益な呪文を文字通り“発掘”してこその面白みがあると筆者は考えている。ただ、筆者が発掘するのは主に他人が見向きもしなかったカード達の中から、だが。
現在、筆者の自宅には現行スタンダードで過去のセニョール・ストンピィを模した緑単色デッキ“Small Stompy”と、乗り手の性能によってデッキ性能や強さが爆発的に上がる、まるで《的盧馬/Riding the Dilu Horse》の様な対レガシー仕様の緑単色デッキ“MDR”と、主にMagic Online上のカジュアルクラシックのフォーマットで戦績を残している、以前このDNでも取り上げた“横に並べるデッキ”のステロイド版、《象の強襲!/Elephant Assault!》がある。
色々考えすぎて筆者の考えが《シャドーの迷路/Maze of Shadows》に捕らわれそうになったが、先日DNの模様替えもした事なので今回はカジュアルクラシックスタイルのデッキ、《象の強襲!/Elephant Assault!》で明日の《闘技場/Arena》での戦いに赴きたいと思う。
そうと決まれば話は早い。早速明日の持ち物チェックに取り掛かる。デッキ、サイドボード、ライフカウンター、ダイス、お金…。忘れ物が無いか入念にチェックをしていく。おっと、大切なものを忘れる所だった。最後に必須アイテムのメモ帳とボールペンを《ジョイラの道具箱/Jhoira’s Toolbox》に詰め込んで準備は万端だ。これでいつでもプレインズウォークできるし、ジャムーラの様なコンクリートジャングルを抜けた先にある《オアシス/Oasis》である所の“カードショップミント浦和店”へ出発できると言うものだ。
明日の天気は残念ながら《(酸性雨)/Acid Rain》やら《涙の雨/Rain of Tears》が降ると予報されているが、どんな天気でもどんな結果でも、筆者の心はきっと《鳥の乙女/Bird Maiden》の笑顔の様に素晴らしいモノなっているに違いない。まさに“マジック”。プレイしていることが楽しいゲームは、それ自体が魔法の様なものだ。
そして、来るべき明日の《果たし合いの場/Dueling Grounds》へ赴く為の最終事前準備(其即ち《睡眠/Sleep》以外の何物でもないのだが)で筆者がタップ状態になってしまう前に、この言葉を最後にして今回の日記を“〆る”事にする。
『それではカジュアル・クラシックを始めよう。』
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